闘争と個性

自分らしくが一番だって軽々しく言ってくれるなよ 多様性が大切だと一様に叫ばれるこの世界で自分が自分であるという事は命がけの闘争なんだ

包含関係

真実は嘘の部分集合である その時代を生きる人々が信じて疑わない嘘に与えられた名が真実だ

森に呼ばれる

風で葉が擦れる音、土のにおい、水の冷たさ、木漏れ日のまぶしさ 森の中にある水辺に憧れる

中3くらいで国語で習った高瀬舟ってあったよね

足るを知った後で人はどう生きていけばいい? いつだって世間は何かを手に入れろとうるさいんだ そういう騒音を聞き流して悠々と過ごしていけば別にいいのか

働かないので食べません

大学生になって自分の遊び代くらいは稼ごうとバイトをはじめた。 一番最初にやったのは近所のアダルトショップ店だ。 店の外にあった従業員募集中の旗を見かけて電話をしてみたらすぐに面接に呼ばれ採用が決まった。 業務内容は店内の清掃、エロ本とビデオの…

サンタなんていない

サンタなんていない。クリスマスのプレゼントを運ぶのは赤い衣装を着た白髭のお爺さんとトナカイではなくてお父さんとお母さんなんだ。 確かにそうかも知れない。子どもたちのところへプレゼントを運ぶ優しいお爺さんはいない。 だけれど「サンタ」がいない…

あなたを思う

男と女、大人と子ども、日本人と外国人、お金持ちと貧乏人 それぞれの属性で分離して味方と敵、こちら側とあちら側で対立する 我々を苦しめる悪者を打倒することで救われる そんな魔王を倒したら世界は幸せになってハッピーエンドみたいな安易な物語でこの世…

少女漫画を読みました

少女漫画を何作品か読みました。 15巻以内で完結する作品を一晩かけて読破する生活を約1週間続けました。 普段新書しか読まない人間にとって美しい男女の青春を垣間見るという事は新鮮な体験でありました。 読書後に胸の内に残る少しの寂しさは卒業式に感じ…

答え合わせ

周りの目を気にする女の子がいた 自分がクラスで目立つ方なのか目立たない方なのかポジションを気にかけているようだった 高校に進学すると何度も何度も学校の友人と通話をしたり遊びに行ったりと楽しく過ごしているという話をしてくれた 最初はこの子も新し…

無駄

社会人として働いて数年、己が社会との親和性の極めて低い人種であると自覚する。 変に小賢しいこの社会不適合者は理論武装を始める。 社会のろくでもなさを立証するために本を読み、納得のいく文章に出会っては満足感を得る。 人はその賢さを自分が正しいこ…

近況報告

城を追われたので引っ越します

昔話

小さな国の王は民の暮らしがよりよくなることを何よりも望んでいました。 この国の人々は肥沃な大地と綺麗な水の恩恵を受け自然の中で暮らしていました。 いつまでもこの平穏な暮らしができたならどれ程良かったことでしょう。 近隣の大国が大陸統一の足がか…

正論との対話

正論というものがある。常識的に考えて今はこうするべきだろうだとかこの台詞を言うのが正しいであろうなどという判断を私たちは自身の中にある正論と照らし合わせながら行っている。 先生が生徒を指導するときにはよくこれが行われているのだと思う。 生徒…

バカと悪戯

移動教室の帰り道廊下を歩いていると声をかけられる。 誰かと思えば小学校からの腐れ縁のバカだった。 バカとは随分と辛辣な物言いだと思われるかも知れないけれどこれは仕方のないことなのだ。 私が彼をそう認識するようになるまでの歴史はここでは語り尽く…

朝3

教室に着くと教室には既に殆どのクラスメイトが揃っている。 入り口付近で雑談をしているクラスメイトたちと挨拶を交わしながら私は教室中央の列にある自分の席を目指す。 席に着くと後ろの席の男子に声をかけられる。 クリクリと可愛い目をした男の子だ。野…

朝2

下駄箱に着くと靴を脱ぎ、背伸びをして靴を投げ入れる。 私の身長がほんの少しばかり足りないのもあるだろうけれど、この学校の下駄箱は不自然に高過ぎる。よりによって1番上の段になるとはツイてない。 上履きを取り出そうしたとき、ふっと影が頭上を通る…

やかましい目覚まし時計を乱暴に黙らせ目を覚ます。 ちょっと力んでパチりと目を見開くと天井の模様が見える。 果たして今日という1日を始めるべきか否か… まだ起きたくはないのだけれど時間に余裕もないし仕方がない。 カーテンを開けると薄暗い部屋がパッ…

純文学作品1 三三七拍子

引退した父親の後を継いで小さなクリニックを営んでいる小男の元に今日も患者が訪れる 次の方診察室にどうぞ 声がかかると診察室のドアを開いて静かに現われた彼女はまだ若い小柄な女性だった どうされましたか? 訊ねると彼女は今にも消えてしまいそうな声…

同窓会

スマホを変えた際に連絡先が全て吹っ飛んだ 以来地元の人たちとの交流が完全に途絶えている 同窓会には1度だけ参加したことがある 高校生になってから中学校の同級生達からお声がかかった 中学の頃は同じ学校の同じ教室で毎日顔を合わせていてそれが自然だっ…

罰が下るから人を傷付けてはいけないのではなくて 傷付けてはいけないから傷付けてはいけないんだろ 何でもかんでも法律に書いて貰わなきゃ人として恥じることの無い振る舞いができないの? 流石にそこまで我々は愚かでは無いということを思い出しませんか?…

会話 ありがとう

いつも同じおじちゃんが郵便を届けてくれる ありがとうございますと受けとるだけだったのに 何度も顔を会わせるうちにおじちゃんから親しげに話しかけて来るようになって一言二言言葉を交わして去っていく こういう人間と人間のやり取りだけが救いなのだと思…

何者になれるだろう?何者であるだろう?

転職先も決めないで会社を辞めた息子に母は 「次は何者になる?」と訊ねる 何者も何も自分は生まれてこの方自分でしかなくて自分以外の何者にもなれずに生きてきた 職業名で夢を語るこの世界では無職は何者でも無いのだろう 求められる役割を器用に演じられ…

嘘つき

選択肢を広げるために少しでも高い学力を身に付ける 選択肢を広げるために少しでも多くの収入を得る 違う そもそも何故選択肢を広げなくてはいけない? 何がしたいかが分からないからだ自分自身の望みや人間の生き方についてあまりにも知らなすぎるからだ 自…

少年たち

先生の言うことを聞かずに好き放題してやったと自慢げに武勇伝を語る少年を見てモラルを疑った どうして悪事をこんなにも楽しそうに話すのだろうと理解できなかった 先生は大人はいつだって「正しいこと」を言う そしてそれに従うことが「正しい」のだという…

とある日の事件

高いところから降りられなくなったネコちゃんを助けることは一円の得にもならないけれど助けようとあくせくした人々がいてそこには確かな徳があった 2020/05/29 近畿大学の事件にて

冒険の喪失

達成したい目標を掲げ、それに向かって計画的に行動を起こすことは合理的で堅実で善き事だ しかし万能ではない 掲げられる目標には制限がある 現時点の我々に思い描くことができるものしか目標として掲げることはできない 既知の領域内というごく限られた範…

親-子 パワーゲーム

ある少年から相談を受けた 学校もない今スマホで友達とコミュニケーションを取りたいが親が厳しく満足に通話させて貰えないそうだ 親の言い分としては夜遅くまで通話してしまうからダメはよ寝ろ ということらしい しかしながら彼としては休みの今だから気が…

等身大の世界を

誰もが何者かになろうと苦しむ世界で ただ自分自身で在ることができたなら これほど幸福なことはない

とある日のやりとり2

お調子者の男の子がふざけ半分に説教をして見せた 「いいかお前?そんなではダメだ!人に迷惑をかけず、やることはしっかりやりなさい!」 説教を受けて笑顔で応える 「誰にそうやって怒られたの?」

とある日のやり取り

中学生の男の子が歴史の教科書を眺めながら悪戯っぽく言った 「俺が独裁者になったらお前を真っ先に処刑してやる!」 これを受けて返す 「それは恐ろしいね。だったら自分は屋根裏に隠れて日記を付けよう」 男の子は何を言っているんだろう?という顔をして…