かましい目覚まし時計を乱暴に黙らせ目を覚ます。

ちょっと力んでパチりと目を見開くと天井の模様が見える。

果たして今日という1日を始めるべきか否か…

まだ起きたくはないのだけれど時間に余裕もないし仕方がない。

カーテンを開けると薄暗い部屋がパッと明るくなる。朝の日差しで強制的に身体にエンジンをかける。

外からは鳥の鳴き声が聞こえる。苦手な朝の数少ない好きな音。

階段を降りて1階の洗面台に向かう。冷たい水で顔を洗う。

ここまで来ると意識が鮮明になってくる。

歯を磨き、寝癖を直し、着替えるとすぐに家を出る。

朝ご飯は食べる気がしなくていつも抜いている。別にダイエットとかではない。

 

家を出てすぐに左に曲がり通り沿いを真っ直ぐ歩いて行く。

神社の横を通り過ぎ少し歩くと幼なじみの家がある。

インターホンを鳴らすと大抵弟が出てきて軽く会釈したかと思うと静かに兄を呼びに行く。

玄関に腰掛けぼーっと待つこと数分彼が準備を整えやってくる。

彼と合流するとそのまま2人で歩き始める。

道中で言葉を交わすことはあまりない。

ただ黙々と歩く。何か喋らなければと沈黙を気まずく思う気持ちは湧いてこない。

ただなんとなくこうして2人で通学路を歩くことが自然だからそうしている。