生き物はいつか死ぬそんなことはあたりまえの事実として知っている

初めてそのあたりまえの事実を意識したのは8才の時だった

学校の先生がこの地域に大きな地震がいつ起きてもおかしくないと言っていたのを聞いて急に死が実体を持って目の前に現われたような気がした

それからは自分はいつか死んでしまうんだ、地震が来たらに潰されて死んでしまうんだと悲しくなって夜な夜な泣いていた

 

時が経つにつれそんなことも忘れ普段生活しているときは死から目をそらすことができている

今でも死ぬのは怖い

いつかは自分の番が来るどんなに嫌だと願っても避けようのない運命としてそれは来る

時々そう思い出すとドキッとする

 

年齢を訊かれた少女がこう答えた

わからない

どんなに記憶を遡ってもわたしは既にそこにいたの

だからずっとずっとわたしはここにいる

昔読んだ本で出てきたやりとりだ

これを読んでおもしろいと感じたのを覚えている

 

自分がいつどのように生まれてきたのか

その瞬間の記憶はない

きっと生も死もその瞬間を自身で意識的に観測することは難しい

 

8才の自分に、まだ怖がりな今の自分に

どうってことはない!たぶんその瞬間に気付けはしないさと強がってみせることくらいはできるのかも知れない